死と夏

5月も半ばを過ぎて、「初夏」と呼ばれる季節になった。朝晩は涼しいけど、日中は少しじめっと暑い。

漠然と死を感じる季節だなあと思う。祖父が亡くなったのは8月だったけど、祖母が亡くなったのは夏ではないし、そういう意味での死ではなくて。なにかいるような、そんな気持ちになるのは夏だと思う。

じめじめとした空気、生暖かい風がそう感じさせるのかもしれない。怪談話でも何か出てくるときは生暖かい嫌な風が吹くものだ。もしくは、体にまとわりつく湿気がなにかいるようなそんな気持ちにさせるのかもしれない。もしくは、梅雨時に咲く代表格である紫陽花が「死」のイメージを思い起こさせるのかもしれない。(紫陽花には毒性がある)そもそも、死者が帰ってくるとされるお盆は夏にあるし。

ともかくこれからの時期は、そうした死に纏わるイメージが増えるような気がする。だからどうということはないのだけれど、自分1人ではない気がするのがなんだか嬉しいような、そんな気持ちになったり。そんな、初夏の1日。