蛙がいた井に井戸はなかった
言葉について考えたことをメモしておく記事。
今回は「井戸」について。井戸と聞いてみんなが思い浮かべるイメージは多分これ。
屋根が付いてたりなかったり、滑車がついてたりなかったり、蓋がしてあったりなかったりすると思うけど、共通のイメージとしてあるのは石でできた筒状のものが地面から飛び出ているようなもの。
でもこれって、元々は「井戸」じゃなくて「井」だったんじゃない??
「井の中の蛙大海を知らず」という言葉がある。ここでいう「井」は井戸のことで、井戸の中という狭い世界にいる蛙は大きな海のような広い世界を知らないという意味。つまり、「井戸」は昔は「井」と呼ばれていたということ。
では、そもそも「井戸」は元々何を指す言葉だったのだろうと考えてみると、思い当たるものがある。
それがこれ!この、井戸の蓋の部分!
今ではこれのことを井戸蓋と呼ぶみたいだけれど、昔はこれを「井戸」と読んだに違いない。
じゃあ何故今は蓋を含めた全体を「井戸」と呼ぶのか。
多分いくつも理由はありそうだけど、その中のひとつに、「短い単語は他の字を足して分かりやすく、言いやすくする」というものが考えられる。要は「井」だけだと言いにくいし、音だけで聞いたときに分かりにくいから、「井戸」を「井」全体を指す言葉にして分かりやすくて言いやすい形にしたという説。
色でも、赤や青はそのままなのに、黄だけは「黄色」とわざわざ「色」をつけて呼んだりする。それはきっと、一音よりも三音の方が収まりが良くて言いやすいから。そして他の言葉との混同を避けるため。
【結論】
今の「井戸」はそもそもは井戸蓋のこと。言葉の変化により、蓋だけを指す言葉が全体を指す言葉へと変化した(のかもしれない)。